国が指定する住宅の相談窓口「住まいるダイヤル」に寄せられた新築住宅の相談のうち、34.0%が契約に関するトラブルを含んでいます。見積もりのトラブルで代表的なのは、契約の後に費用が追加されることで、抜けていた工事や、書面に残っていない変更から起こります。契約の前に、見積書の中身と変更の記録を書面で確かめましょう。(2026年時点)
家を建てる前に、「契約した後で、見積もりになかった費用を請求されないか」と不安に感じる方もいるのではないでしょうか。この記事では、見積もりで起こりやすいトラブルの事例から、契約の前に住宅会社に求めてよいこと、困ったときの相談先まで解説します。
この記事を監修した人

梅村 征敏
サービス・イノベーション株式会社/CEO
住宅業界13年。国内有数のコンサルティング
ファームでの経験とMBAの知見を活かし、
100社以上のマーケティング改善を支援。
著書に『家づくりは76%が後悔する ユーザーの声からたどり着いた成功する唯一の答え』がある。
住宅AIコンシェルジュのコラムを企画・監修。

見積もりや契約のトラブルは、どれくらい起きている?
新築住宅の相談のうち、3件に1件は契約に関するトラブルを含んでいます。住まいるダイヤルの2025年度の電話相談で、新築の相談11,707件のうち「契約トラブル」が24.8%、「不具合と契約トラブル」が9.2%だったためです。

新築の相談の3分の1は、契約に関するトラブル
住まいるダイヤルは、国土交通大臣が指定する住宅の相談窓口です。住まいるダイヤルの「住宅相談統計年報2026」によると、2025年度に電話で受けた新築住宅の相談11,707件のうち、相談の内容は次のようになっています。
- 契約トラブル:24.8%
- 不具合と契約トラブル:9.2%
合わせると、34.0%の相談が契約に関するトラブルを含んでいます。ただし、ここでいう「契約」は住宅の契約に関するトラブル全般で、見積もりだけの数字ではありません。それでも、家を建てる人の相談のうち、お金や約束ごとに関わるものが少なくないことが分かります。
トラブルが起こりやすいのは、契約の前後
見積もりのトラブルが起こりやすいのは、契約の前後です。よくあるのは、次のような流れです。
- 間取りや設備が決まりきらないうちに、概算の見積もりで契約する
- 契約の後の打ち合わせで、設備や仕様が細かく決まっていく
- 見積もりに入っていなかった工事や、変更した分が足され、金額が上がる
契約の後で金額が変わると、「そんな話は聞いていない」という行き違いになりやすくなります。反対に、契約の前に見積書の中身を確かめておくほど、トラブルは防ぎやすくなります。
見積もりで起こりやすいトラブルは?
見積もりで起こりやすいトラブルは、契約後に費用が追加されることです。必要な工事が見積もりから抜けていたり、打ち合わせでの変更が書面に残っていなかったりすると、契約のあとで金額が上がるためです。
よくある5つのトラブルと防ぎ方
見積もりに関するトラブルは、多くが次の5つのどれかに当てはまります。
| トラブル | 起こる理由 | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 契約後に、抜けていた工事を請求される | 地盤改良や外構など、金額が後から決まる工事が見積もりに入っていなかった | 見積もりに入っていない工事を、契約の前に聞いておく |
| 「一式」の中身が分からず、思っていた工事が含まれていない | 数量や品番を書かずに、まとめて書かれていた | 金額の大きい「一式」は、何がどこまで含まれるかを確かめる |
| 概算のまま契約を急かされる | 「今月中なら値引きできる」など、期限を区切られる | 詳細の見積もりがそろうまで、契約を急がない |
| 打ち合わせでの変更が、見積もりに反映されていない | 変更を口頭だけで決め、書面に残していなかった | 変更のたびに、修正した見積書を出してもらう |
| 仕様や品番が、打ち合わせと違う | 見積書と図面・仕様書の中身がそろっていなかった | 見積書と図面・仕様書の品番と数量を照らし合わせる |
どのトラブルも、「契約の前に、見積書に何が書かれていて、何が書かれていないか」を確かめておくことで防ぎやすくなります。
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見積もりの間違いに気づいたら(契約前・契約後)
見積もりの金額や数量に間違いを見つけたときは、契約の前か後かで、やることが変わります。
契約の前に気づいた場合は、住宅会社に伝えて、修正した見積書を出してもらいましょう。口頭で「直しておきます」と言われただけで契約するのではなく、修正された見積書で中身を確かめてから契約することが大切です。
契約の後に気づいた場合は、契約書、契約のもとになった見積書、打ち合わせの記録をそろえて、住宅会社と話し合います。どちらが費用を負担するかは、契約の中身やそれまでのやりとりによって変わるため、自分だけで判断しないようにしましょう。話し合いで解決しないときの相談先は、このあとの「トラブルになったら、どこに相談する?」で紹介します。
トラブルを防ぐために、契約の前に求めてよいことは?
契約の前には、見積書を出してもらうことや、打ち合わせでの変更を書面で交わすことを、住宅会社に求めてかまいません。建設業法で、建設業の許可を持つ会社は請求があれば契約までに見積書を交付すること、契約内容の変更は書面で交わすことが定められているためです。
打ち合わせの変更は、書面で交わす
打ち合わせで設備や仕様を変えたときは、口頭だけでなく書面で残しましょう。契約の内容を変えるときは書面で交わすことが、法律でも定められています(建設業法 第19条第2項)。
書面で残す方法には、次のようなものがあります。
- 打ち合わせの記録:決まったことを書いた議事録を、住宅会社と共有する
- 変更ごとの見積書:変えたところと金額が分かる見積書を出してもらう
- メール:口頭で決めたことを、「この内容で間違いないでしょうか」とメールで確かめる
書面があれば、あとから「言った・言わない」になるのを防げます。
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見積書は、契約前に頼めば出してもらえる
建設業の許可を持つ住宅会社は、施主から請求があれば、契約までに見積書を出すことが法律でも定められています(建設業法 第20条第4項)。概算の金額しか聞いていないまま契約の話が進んでいる場合は、契約の前に見積書を出してもらうよう頼みましょう。
値上げの可能性を、契約前に聞いておく
注文住宅は、契約から引き渡しまでに時間がかかるため、その間に資材の価格が上がることがあります。契約の前に、次の2つを住宅会社に聞いておきましょう。
- 資材の値上がりなどで、契約の後に金額が変わる可能性はあるか
- 価格が変わったときの決まりが、契約書に書かれているか
あわせて、見積書の有効期限も確かめておきましょう。有効期限を過ぎてから契約すると、金額が出し直しになることがあります。
契約前に確かめるチェックリスト
契約の前に、次の6つを確かめましょう。
- 正式な見積書:概算ではなく、詳細の見積書がそろっているか
- 変更の反映:打ち合わせで変えたところが、すべて見積書に入っているか
- 変更の書面:変更した内容が、議事録やメールなどの書面で残っているか
- 値上げの決まり:価格が変わったときの決まりが、契約書にあるか
- 解約の条項:契約をやめるときの決まりと、かかる費用が契約書にあるか
- 有効期限:見積書がいつまで有効か

トラブルになったら、どこに相談する?
見積もりや契約でトラブルになったら、見積書・契約書・打ち合わせの記録をそろえて、住まいるダイヤルや消費生活センターに相談しましょう。住宅会社との話し合いだけで解決しないときも、中立の立場で助言を受けられるためです。
相談の前にそろえる書類
相談する前に、次の書類をそろえておくと、話がスムーズに進みます。
- 見積書(変更のたびに出してもらったものもすべて)
- 契約書(約款や別紙も含めて)
- 図面・仕様書
- 打ち合わせの記録や議事録
- 住宅会社とのメールやメッセージ
そろえたら、「いつ、何があったか」を日付の順にメモにまとめておきましょう。相談先に状況を正確に伝えられます。
住まいるダイヤルと消費生活センター
見積もりや契約のトラブルは、主に次の2つの窓口で相談できます。
| 窓口 | どんなところか | 連絡先 |
|---|---|---|
| 住まいるダイヤル | 国土交通大臣が指定する住宅の相談窓口。家づくりや住宅の工事に関する相談を受け付けている | 03-3556-5147(10時〜17時。土日・祝休日・年末年始を除く) |
| 消費生活センター | 地方自治体が設けている、消費者トラブル全般の相談窓口 | 消費者ホットライン「188」(近くの窓口につながる) |
家づくりに特有のこと(工事の内容や契約書の読み方など)を相談したいときは住まいるダイヤル、勧誘や契約の進め方など、消費者としてのトラブルを相談したいときは消費生活センターが向いています。どちらも相談は無料ですが、通話料はかかります。
契約を解除したいときは
契約を解除したいときは、まず契約書の解約の条項を確かめましょう。解除できるかどうかや、解除にかかる費用は、契約の中身と工事の進み具合によって変わります。工事が始まる前でも、設計などにかかった費用を求められることがあるため、自分だけで判断せず、上の相談先に相談しましょう。

契約の前に、見積もりを第三者に見てもらうには?
契約の前に、住宅会社とは別の第三者に見積もりを見てもらうと、トラブルの種を契約前に見つけやすくなります。契約の後で抜けや食い違いが見つかると、金額の話し合いや変更の手続きが必要になるためです。
自分で確かめると大変な理由
見積もりからトラブルの種を見つけるには、「書かれていないもの」を探す必要があります。しかし、書かれていないものは、家づくりに何が必要かを知らなければ見つけられません。
さらに、打ち合わせで変更があるたびに、新しい見積書と前の見積書、図面を照らし合わせる必要があります。契約の期限を区切られていると、確かめる時間も十分に取れません。
家づくりが初めての施主が、限られた時間の中ですべてを自分で確かめるのは大きな負担です。
住宅AIコンシェルジュの見積もり診断でわかること
住宅AIコンシェルジュでは、住宅会社ごとに異なる注文住宅の見積書を、3つの角度から無料で比較・分析するサービスをご用意しています。
最大3社分の見積書を送ることで、各社の総額や含まれる費用の違いに加え、実際の価格相場や家計に無理のない予算かどうかを整理したレポートを受け取れます。
例えば、「契約の前に、見積もりに抜けている費用がないか確かめたい」「契約を急かされていて、この金額で決めていいか不安」といった場面で活用できます。
トラブルを防ぐうえで大切なのは、総額だけで判断するのではなく、何が含まれていて、何が含まれていないかを理解してから契約することです。
よくある質問(FAQ)
概算見積もりのまま契約してもいい?
概算見積もりのままの契約は、できるだけ避けましょう。概算は間取りや設備が決まる前の金額なので、契約の後で金額が上がりやすくなります。
契約後の追加費用は、必ず払わないといけない?
追加費用を払う必要があるかどうかは、契約書の中身と、変更についてどう合意したかによって変わります。自分だけで判断せず、契約書と打ち合わせの記録をそろえて、住まいるダイヤルや消費生活センターに相談しましょう。
見積もりと違う設備が付いていたら?
まず、契約のもとになった見積書と仕様書で、品番や仕様を確かめましょう。そのうえで、書面と違うことを住宅会社に伝えて話し合います。変更の記録が書面で残っていれば、話し合いを進めやすくなります。
見積書を出してくれない会社は?
建設業の許可を持つ住宅会社であれば、請求すると契約までに見積書を出してもらえます(建設業法 第20条第4項)。見積書がないままの契約は、急がないことが大切です。















